外断熱の工法

RC外断熱の基本

建築知識9月号

建築知識 9月号の木造・S造・RC造【断熱・気密】最新版の
図面と写真の提供とその解説を執筆者の一人として参加しました。

外断熱で躯体を保護
RC造の外断熱は躯体を熱から保護できることが最大のメリット。さらに鉄筋コンクリート地雷が蓄熱性のある素材であるため、冷暖房の効果が持続しやすい。また躯体の蓄熱性のある素材であるため冷暖房の効果が持続しやすい。また躯体の外側が雨風にさらされ続けるのとそうでないのとでは躯体のダメージがかなり異なる。止水ラインを担保するため、メーカーの責任施工による外断熱システム(EPSやロックウールなど)を選ぶと安心。外断熱は内断熱より結露しにくいが、工事費が多少高いこと(打ち放しに保護剤を塗布して仕上げる場合に比べ2~2.5倍になることが多い)断熱材の厚みの分だけ外壁が厚くなるため敷地に余裕が必要であること、高気密、高断熱になるので換気計画が重要であることなどの注意点がある。

パラペット部分の断熱補強
屋上を外断熱とする場合、熱橋を防ぐためにパラペットの立ち上がりも断熱する必要がある。また、水の侵入リスクが高いため、金属笠木を使用するのが一般的

屋上は露出防水工法が一般的
屋根(屋上)を外断熱とする場合は、防水層を断熱材の下に設ける方法と断熱材の上に設ける方法に分かれる。屋上に人が立ち入らないマンションなどの建物では断熱材の上に防水層を設ける屋上露出防水工法が一般的。断熱材が濡れるのを防ぎ、断熱材の劣化や断熱性能の低下を予防する。この場合は防水施工業者による責任施工となる。

歩行用は押さえコンクリートを打設
断熱材の下に防水層を設ける、屋上断熱防水工法とする場合は水にぬれたり人が立ち入ったりすることを踏まえて、XPSなどの耐水性、耐久性のある断熱材を選ぶ必要がある。断熱材の上には押さえコンクリートを打設する。

ピット内断熱は型枠打ち込みで
耐圧盤下は、全面にXPSを張り付ける。ピットは非常に結露しやすいため、ピット天井に断熱層を設け、湿気が室内に入り込まないようにする。ピット内は基本的にボード状断熱材の型枠打ち込み工法とする。なお、スラブ面や基礎断熱などでは打設不良が起こりにくいため、型枠打ち込み工法が採用されることも多い。

外断熱なら住みながら改修が可能
住宅の断熱改修を行う場合、外断熱なら住みながらの改修が可能。木造、S造の外張り断熱にも同様のメリットがある。

木造:基礎外断熱-型枠打込工法>>EPS材

熱伝導率0.038W/(m・K)〈EPS3号〉
外断熱は吸水性の低いボード状の発砲プラスチック系断熱材を用いて、基礎立上がりの最下部から天端まで施工する。
内断熱と同様、シロアリ生息地域では防蟻断熱材※1を用いる。地盤面には防湿措置を施す。

外型枠を設置後、EPS断熱材を基礎外周に仮固定

EPS断熱材を内側に張り付けた外型枠を設置し、断熱材の厚みと鉄筋のコンクリートかぶり厚さを考慮して鉄筋を敷設する。

②基礎底盤部を打設後内型枠を設置

EPS上端はコンクリート打ち込み高さより80mm程度高くし、土台の断熱と気密を確保する。また不陸防止のため外型枠には切梁を適切な間隔(600~900mm程度で角の近く)に設置する。

③立上がり部のコンクリート打設後に型枠を外す

型枠を外す際は、EPS断熱材を傷つけないように注意する。破損した場合は、防蟻材位置接着材で補修する。
基礎外断熱

RC乾式:壁外断熱

木造在来工法を生かした乾式外断熱工法

RC造湿式:壁外断熱-張り付け工法>>EPS外断熱システム

熱伝導率0.038W/(m・K)〈エコサーム〉
内断熱よりもコストは高くなるものの、コンクリートの躯体を保護できる外断熱。断熱材はEPSかロックウール。防水納まりに細心の注意が必要なため、仕上げまで含めた責任施工の外断熱システムが安心です。

①EPS断熱材を接着剤で張り付け

EPS断熱材(500*1000mm)の張り付け面にアクリル系樹脂モルタル接着剤を専用の櫛目ごてで塗布。施工部位の最下部から順に躯体に接着する。養生は24時間。定規を用いて、EPS断熱材が水平になるように張り付ける。また平面部では千鳥張りとする。

②ベースコートとグラスファイバーメッシュを施工

ベースコートとしてアクリル樹脂系モルタル接着剤をEPS断熱材の表面に1~2mm厚で塗り付ける。速やかにグラスファイバーメッシュを張り付けて、こてで平滑に伏せこむ。養生は24時間。

③トップコートで仕上げる

ベースコートとトップコートの付着性を高めるため、よく攪拌した仕上げ用プライマー(アクリル樹脂系接着強化塗り剤)を施工面全体にムラなく塗り付け、テクスチャをつける。
なお、浸透性の高い材料で構成されているため、通気層は不要。

RC造湿式:壁外断熱-張り付け工法>>ロックウール外断熱システム

熱伝導率0.041W/(m・K)〈アルセコ〉
RC造の外断熱工法の断熱材は耐水性に優れるEPS断熱材が一般的だが、耐火性能を高めたいなあ不燃材料のロックウールもお薦め。ここで解説するアルセコ社の製品はタイル仕上げも可能で意匠も幅広く選べる。

①ロックウール断熱材を接着剤で張り付け

まずはロックウールの張り始めの水平ラインを出すためにベースレールを取り付ける。ベースレールは400~500mm間隔でステンレスビスを使用して固定。
出隅部は45°にカットしたベースレールどうしをジョイントでつなぐ。ロックウールの接着面全体に、角溝鏝を使用して接着剤を塗布、下から上に向かって隙間なく張っていく。この時、強度を高めつつ、平滑に張り上げるために、上下の列の目地が同一直線上に重ならないようにする。

②ベースコートにグラスファイバーメッシュを伏込む

ベースコートを塗布し、グラスファイバーメッシュを伏せこむ。メッシュのつなぎ部は重ね代を100mm以上設けること。躯体出隅部と開口部周辺の出隅部には補強用のコーナーメッシュを伏せこんで、耐衝撃性を高め、クラックを防止する。入隅部はメッシュをカットせずに折り曲げて伏せこむ。また開口部の四隅には開口補強メッシュも伏せこみ、斜めにクラックが発生するのを防止する。

③トップコートで仕上げる

鏝でトップコートを塗り、ローラーでプロテクトカラー(シリコーン樹脂塗料)を塗装して仕上げる。

RC造湿式:床外断熱-張り付け工法>>ロックウール外断熱システム

熱伝導率0.041W/(m・K)〈アルセコ〉
RC造はフラットな床スラブの外側に断熱材を設置する外断熱が可能。ここでは「アスセコ外断熱システム」を使用。
仕上げ材は外壁と同じものを使用し、シンプルに仕上げることが多い。

①ロックウール断熱材に接着剤を塗布して

ロックウールに接着剤をできるだけたっぷり付ける。塗り付けた接着剤に専用の角溝鏝(10*10mm歯付)を45°に傾けて角形の凹凸をつくる。不陸やクラックを防ぐため、ロックウーどうしが重なる部分には接着剤はつけないようにする。

②床スラブの下側に張り付けて

ロックウールは馬目地になるように張っていき、断熱材の厚み以上にずらさないようにする。張り付けた後にはロックウールの上から手や板などで叩いて不陸を調整する。張り付けたロックウール同士に隙間がある場合ロックウールをちぎって埋めるか、その箇所をカットして張りなおす。

③ベースコート・トップコートで仕上げる

ベースコート材を塗り付けて鏝でメッシュを伏せこむ。塗厚を一定にするため、必ず専用のR角型後手を使用する。ベースコートの色が全体的に薄く均一になり、さらに手で触っても濡れなくなったらトップコートで仕上げる。ベースコートの凸部分は不陸の要因になるため、鏝で軽く削る。

S造:現場発泡ウレタン

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