コンクリート住宅の外壁の寿命について。

これは、私が毎日ウォーキングして、立ち寄る公園に面して建っている建物の外観です。この模様は、もちろんアートではありません。
築20年あまりの建物ですが、コンクリート打ち放し面の痛み(クラック)が激しく全面補修を行っているところです。

コンクリート住宅(RC住宅)の外壁も同様ですが、建物の外壁をコンクリート素地仕上げ、いわゆるRC打ち放しの仕上げにする場合は、きめ細やかな施工を行わなくてはなりません。
この写真の模様は、コンクリートの外壁面に発生したおびただしいひび割れを補修している途中です。このコンクリートのひび割れの原因は、かぶり厚と云ってコンクリートの中の鉄筋と表面までの厚みが足りなかったり、施工時のコンクリートの水分量が規定より多い事や、密実なコンクリートを打設するための作業を怠っていたなどすると写真のようにコンクリート表面にクラックが発生してしまいます。

このコンクリート仕上げ、RC打ち放しの外壁のクラックの発生のプロセスを簡単に説明します。
コンクリートはアルカリ性で、中の鉄筋の酸化を押させています。クラックがあるとそこから雨水が侵入して鉄筋を錆びさせます。
〈コンクリートの中性化は表面から徐々にの進行するのですが、このクラックによって内部からも進行させていまいコンクリートの中性化を著しく促進させてます。中性化してしまうと鉄筋の酸化がはじまります。つまり鉄筋が錆びるのです。〉※〈〉の内容は、文末で訂正しています。
そして錆で体積の増えてしまった鉄筋が、中からコンクリートを押し開きクラックが大きくなります。
こうして劣化の悪循環を生み、コンクリート住宅(RC住宅)の寿命が、急速に短くなっていきます。

補修後の写真です

これは、先日訪れたある美術館のRC打ち放しの外壁に発生していたクラックの写真です。早急に補修するべき状態です。

2020年5月10日 追記
コンクリートがアルカリ性であることで、鉄筋の酸化(錆)を押さえることから、コンクリートの中性化が表面から内部へ進行し鉄筋に到達るまでを鉄筋コンクリートの寿命と永く云われてきました。(大学でも習いました。)しかし、旧国立競技場などの調査で、コンクリートが中性化していても、必ずしもそこにある鉄筋は酸化していないそうです。このことから、コンクリートの中性化がコンクリートの寿命に直結しない事という考えが今は有力です。メンテナンスを適切に行えば、200年以上の寿命があると云えるそうです。そして、鉄筋コンクリート住宅(RC住宅)を代を継いで大切に使い続けるのであれば、地球環境の負荷の低減にもつながるのではないでしょうか。

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